注意
ChatGPTの回答には誤りも含まれているので、鵜呑みにせず内容を検証する必要があります。
「解説」のパートでは筆者なりにChatGPTの回答を検証しています。
もし間違い等があればコメントしていただければ幸いです。
118A3 問題
低カルシウム血症と低リン血症を同時にきたす病態はどれか。
a 腫瘍性骨軟化症
b 甲状腺機能亢進症
c ビタミンD欠乏症
d 副甲状腺機能低下症
e 慢性腎臓病に伴うミネラル骨代謝異常
ChatGPTの解答
解説
カルシウムだけでなくリンの動態を理解しているかがポイント。
特にPTHとビタミンDの違いを押さえているかが重要になる。
PTHとビタミンDはどちらも亢進すると高カルシウム血症になりますが、リンの動態は真逆です。
下の表に、血中CaとPの調節因子についてまとめました。
この表を覚えることである程度の問題は解けると思います。
表:Ca、Pの調節因子まとめ(イヤーノート2024を元に改変)
血中Ca | 血中P | |
---|---|---|
PTH | ↑ | ↓ |
活性型Vit.D | ↑ | ↑ |
カルシトニン | ↓ | → |
FGF23 | → | ↓ |
FGF23(fibroblast growth factor 23):腎におけるP再吸収抑制作用と血中の活性型Vit.D濃度を低下させることによる腸からのP吸収抑制作用により血中P濃度を下げる。
ChatGPTの間違いを指摘
答え自体は「c」で正しいですが、他の選択肢の解説部分で異なるものがあったので補足して修正します。
a 腫瘍性骨軟化症(TIO:tumor-induced osteomalacia):腫瘍が大量のFGF23を産生し,低P血症による骨軟化症を来す.原因となる腫瘍は間葉系の良性腫瘍で小さいことが多く,発見が難しいことも多い.腫瘍を外科的に摘出すれば完治する.(イヤーノート2024より引用)
つまり「腫瘍が産生する物質によって骨からのカルシウムとリンの流出を促し、高カルシウム血症や高リン血症を引き起こす」というChatGPTの説明は間違いのようです。
b 甲状腺機能亢進症について、ChatGPTは「代謝が亢進し、骨からのカルシウムの流出が増えることで高カルシウム血症を引き起こすことがあるが、直接低リン血症を引き起こすわけではありません。 」と言っていますが合っているのでしょうか。
甲状腺疾患の情報をまとめたクマペディアというサイトには、
甲状腺機能亢進症では、尿からのカルシウム排泄の増加や、血液中のビタミンDの活性の低下、腸管からのカルシウムの吸収も低下しており、骨塩量が低下し骨粗鬆症になりやすい状態
という記載もあり、高カルシウム血症よりも低カルシウム血症になる方が強いような印象を受けます。
ChatGPTの解説をそのまま鵜呑みにするのは危険ですね。